今週も「うめ犬マーケットレポート【日本株】」をご覧いただきありがとうございます。
このシリーズではニュースを単純に並べるのではなく、
- 今週どこに投資資金が向かったのか
- なぜそのテーマが動いたのか
- その流れは来週も続くのか
- 次に狙いたい銘柄はどこなのか
という視点から、日本株市場を分析します。
今週を一言で表すなら、
「AI相場の中身が変わり始め、資金が再び複数テーマへ分散した一週間」
だったと考えています。
先週まで日本株は急速に上昇し、日経平均は7万円台を視野に入れるところまで来ていました。
しかし今週は米長期金利の上昇などを背景にAI・半導体関連株への利益確定売りが目立ち、21日の日経平均は66,016円まで下落しました。
一方でTOPIXは21日もプラスで終了しています。
つまり、日本株市場全体から資金が逃げたというより、
「これまで上昇していた値がさAI株から、別の銘柄へ資金が移動している」
可能性があります。
ここが今週最も重要なポイントです。
今週の注目テーマ① AI相場は「半導体だけ」から次の段階へ
AI関連株については、今週も市場の中心テーマであることに変わりありません。
ただし、AI関連なら何でも上昇する相場ではなくなってきました。
これまで日本のAI相場では、
- アドバンテスト
- 東京エレクトロン
- ソフトバンクグループ
- キオクシア
- データセンター関連
などが中心となっていました。
しかし今後注目したいのは、AIを作る企業だけではなく、AIを使って利益を伸ばす企業です。
実際、市場ではAI導入による生産性向上や業績改善が期待されるIT企業や通信企業にも物色が広がっています。
これはAI相場にとって非常に重要な変化です。
AI投資の初期段階では、
GPU → 半導体製造装置 → メモリー → データセンター
といった「AIを構築するための設備」が中心でした。
しかし設備投資が進めば、次は
AIを実際に企業活動へ導入して利益を増やす段階
へ移ります。
つまり今後は、
AI半導体 → AIインフラ → AIサービス → AIによる企業の生産性向上
という形で、テーマがさらに広がる可能性があります。
半導体株の値動きだけを見て「AI相場が終わった」と判断するのは早いと考えています。
むしろAI投資の恩恵を受ける企業が増えていくかどうかを確認する段階に入ったのではないでしょうか。
今週の注目テーマ② フィジカルAIがいよいよ本格テーマへ
今週、改めて注目度が上がっているのがフィジカルAIです。
フィジカルAIとは、AIがデジタル空間だけではなく、
- ロボット
- 工場
- 物流
- 自動運転
- 建設機械
など現実世界の機械を動かす技術です。
生成AIが「文章や画像を作るAI」だとすれば、フィジカルAIは、
「考えたAIが実際に動く」
段階とも言えます。
日本株との相性が非常に良いテーマです。
日本には、
- ファナック
- 安川電機
- ハーモニック・ドライブ・システムズ
- ナブテスコ
- THK
- DMG森精機
など、世界的なロボット・工作機械・精密部品企業が多数存在します。
今週も日本精工が国産ヒューマノイドAIロボットの開発・実装に向けた基本合意を発表するなど、企業側の動きが具体化しています。
まだ「AI半導体」のように市場全体を巻き込む巨大テーマにはなっていません。
だからこそ注目しています。
株式市場では、
テーマが誰にでも知られるようになった時には、すでに株価が大きく上昇している
ことも少なくありません。
フィジカルAIについては、今後の「うめ犬マーケットレポート」でも重点的に追跡していきます。
今週の注目テーマ③ 海運株が再浮上、中東情勢と運賃に注目
AIとはまったく別の場所でも資金が動いています。
その代表が海運株です。
8月21日には日本郵船が一時7,137円まで上昇し、株式分割考慮後の上場来高値を更新しました。
背景にあるのが中東情勢です。
地政学リスクが高まると、
- 航路変更
- 輸送距離の長期化
- 保険料上昇
- 船舶需給の逼迫
などから海上運賃が上昇する可能性があります。
海運株では日本郵船だけでなく、
- 商船三井
- 川崎汽船
も関連銘柄として注目されます。
ただし、このテーマには注意も必要です。
海運は運賃によって業績が大きく変わる市況産業です。
地政学リスクによる短期的な株価上昇だけを見て追いかけるのではなく、
実際に運賃上昇が業績へどの程度反映されるのか
を確認する必要があります。
短期テーマとしては面白い一方、中長期投資では慎重に判断したい分野です。
今週の注目テーマ④ 金利上昇で再び注目される銀行株
もう一つ無視できないのが金利上昇です。
今週は日米の長期金利上昇が株式市場の重荷となりました。
通常、金利上昇はPERの高いグロース株にとって逆風です。
将来利益の現在価値が低下するため、AI・半導体など高バリュエーション銘柄が売られやすくなります。
一方、銀行にとって金利上昇は必ずしも悪材料ではありません。
金利上昇によって貸出金利と預金金利の差である利ざやが改善すれば、収益拡大につながる可能性があります。
そのため、
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ
- 三井住友フィナンシャルグループ
- みずほフィナンシャルグループ
- 地方銀行
などへの資金移動も引き続き注目します。
AI株が調整するとき、
その資金が銀行・高配当・バリュー株へ移動するのか
を見ることが、今後の日本株市場を判断する重要なヒントになりそうです。
来週の投資戦略
来週は通常の一週間よりも重要です。
最大のイベントは8月26日のエヌビディア決算です。
日本株であっても、これは無視できません。
エヌビディアの決算とAI向け需要見通しによって、
- アドバンテスト
- 東京エレクトロン
- キオクシア
- フジクラ
- 古河電気工業
- ソフトバンクグループ
など、日本のAI・半導体・データセンター関連株が大きく動く可能性があります。
そしてもう一つ重要なのが、27~29日に予定されているジャクソンホール会議です。
現在は米長期金利上昇が株式市場の重荷となっているため、金融政策に対する市場の見方が変化すれば、日本株にも影響します。
来週の基本戦略
来週については、私は**「イベント前に無理にポジションを増やさない」**ことを重視します。
特にAI・半導体関連株はエヌビディア決算によって大きく上下する可能性があります。
決算前に高値を追うより、
好決算を確認してから買う
あるいは、
決算後の急落で長期成長シナリオが崩れていない銘柄を拾う
という戦略の方がリスクを抑えやすいでしょう。
一方で、AI以外については、
- フィジカルAI
- 銀行
- 海運
- 国策関連
- インフラ
への資金移動を引き続き観察します。
来週は指数の方向を当てるより、
「AIから資金が抜けた場合、そのお金が次にどこへ行くのか」
を見る一週間になりそうです。
来週の注目株3選
① キオクシアホールディングス(285A)
期待度:★★★★★
今週、改めてキオクシアを1番手にします。
8月20日にはSKハイニックスの自社株買いを材料にキオクシアも急伸しました。
そして来週にはエヌビディア決算があります。
AIデータセンターの拡大によって必要になるのはGPUだけではありません。
AIが扱うデータ量が増えれば、大容量・高速ストレージへの需要も増加します。
そのため、AI設備投資が継続する限りNAND市場にも恩恵が広がる可能性があります。
一方で注意したいのは、キオクシアは非常に値動きが大きいことです。
メモリー価格、設備投資、競合の増産によって業績が大きく変動します。
来週はエヌビディア決算後のAI投資見通しと合わせて判断したい銘柄です。
短期:★★★★★
中長期:★★★★☆
② ファナック(6954)
期待度:★★★★☆
2番手はフィジカルAIからファナックです。
これまでAI相場では半導体企業が中心でしたが、今後AIが工場・物流・ロボットへ広がれば、日本の産業用ロボット企業が恩恵を受ける可能性があります。
ファナックは産業用ロボット・FAで世界有数の企業です。
フィジカルAIが本格的な投資テーマになった場合、日本株の代表銘柄の一つになる可能性があります。
ただし中国をはじめとする設備投資動向の影響を受けるため、テーマだけでなく受注回復も確認する必要があります。
短期:★★★☆☆
中長期:★★★★★
③ 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)
期待度:★★★★☆
3番手はあえてAIから離れて銀行を選びます。
理由は金利です。
今週の株式市場では日米金利上昇がグロース株の重荷になりました。
しかし、その環境が続くのであれば銀行株には相対的に追い風となる可能性があります。
特にAI・半導体株が調整した際、その資金が大型バリュー株へ移る展開ではメガバンクが受け皿になりやすいと考えています。
AI株と逆方向に動く可能性があるという意味でも、ポートフォリオ分散候補として注目です。
短期:★★★★☆
中長期:★★★★☆
今週のテンバガー候補
ハーモニック・ドライブ・システムズ(6324)
テンバガー期待度:★★★★☆
今週はフィジカルAIからハーモニック・ドライブ・システムズを選びます。
同社の主力である精密減速機は、産業用ロボットなどの関節部分で重要な役割を果たします。
そして今後、ヒューマノイドロボットが大量普及する場合、
「ロボットそのもの」だけでなく「ロボットを動かす重要部品」
への需要も拡大する可能性があります。
ここが今回注目する理由です。
巨大企業であるファナックより時価総額が小さいため、フィジカルAI市場が想定以上に拡大した場合の株価上昇余地も大きくなる可能性があります。
一方で、テンバガー候補としてはまだ確認すべきことがあります。
今後見るポイント
- ヒューマノイド向け採用
- ロボット需要回復
- 中国設備投資
- 営業利益率
- 受注高
- 生産能力増強
特に重要なのは、
「フィジカルAI期待」が実際の受注増加へ変わるか
です。
テーマだけで株価が上昇しても、業績が付いてこなければ長続きしません。
そのため現時点では★★★★★ではなく★★★★☆。
ただしフィジカルAIが次の巨大テーマになった場合、継続して追跡したい銘柄です。
編集後記
今週の相場を見て感じるのは、
「半導体が終わった」というより「AI相場が次の段階へ進もうとしている」
ということです。
AI半導体だけを見れば調整局面に見えます。
しかし市場全体を見ると、
AIサービス、通信、ロボット、フィジカルAIなどへテーマが広がり始めています。
さらにAIとは関係のない銀行や海運にも資金が向かっています。
これは日本株にとって悪い状況ではありません。
一部の値がさ半導体株だけで指数が上昇する相場より、
複数のテーマに資金が循環する相場の方が、個別株投資家にはチャンスが増える
からです。
そして来週はエヌビディア決算。
ここでAI投資の強さが再確認されるのか、それともAI関連株の調整がもう一段進むのか。
次の相場を決める重要な一週間になりそうです。
来週の期待度ランキング
| 順位 | テーマ | 期待度 | 来週のポイント |
|---|---|---|---|
| 1 | AI・メモリー・データセンター | ★★★★★ | エヌビディア決算が最大の分岐点 |
| 2 | フィジカルAI・ロボット | ★★★★★ | AIテーマの次の資金流入先になるか |
| 3 | 銀行・金利上昇関連 | ★★★★☆ | 長期金利上昇と資金循環に注目 |
| 4 | 海運 | ★★★★☆ | 中東情勢と運賃上昇を確認 |
| 5 | 防衛・国策 | ★★★★☆ | 長期テーマは継続、高値追いには注意 |
| 6 | 半導体製造装置 | ★★★☆☆ | エヌビディア決算次第で評価が大きく変化 |
今週の結論
今週の日本株は、日経平均だけを見ると調整局面でした。
しかしTOPIXや個別株を見ると、必ずしも全面的なリスクオフではありません。
そこで来週は、
「日経平均が上がるか下がるか」よりも「資金がどこへ移動するか」
を重視します。
特に注目するのは、
AI・メモリー → フィジカルAI → 銀行
という3つの資金の流れです。
来週のエヌビディア決算を通過した後、この順位がどう変化するのか。
次回の「うめ犬マーケットレポート」で改めて検証します。
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株式投資には元本割れのリスクがあります。最終的な投資判断はご自身で行ってください。
コメント